もうひとつの学校、その3

去年の夏、林間学校で通った道だ。
30分歩いて、愛はおんぼろの木造の建物に到着した。
そこは、もう何年も使われていない、廃校になった学校の校舎だった。
愛はそーっと入ってみた。
沢山の子供たちがいきよいよく上ったり、下ったりしたのだろう。
端のすり減った木の階段が見える。
風が通るたびにカタカタ鳴る窓から外を見ると、ずっと遠くまで畑が広がっていた。

「わーい、学校だ」愛は嬉しくてはしゃいだ。
椅子に座ってみる。沢山の落書きが刻まれている机をなでてみる。
はっぺを当ててみる。立ち上がって、教室の後ろの掃除道具入れの戸棚を開けてみる。
中はからっぽだけど、なんとなくぞうきんの匂いがした。
次の教室でも、その次の教室でも、愛は机にはっぺを当ててみた。
それから、廊下に出るとガラスの無くなった窓枠だけの窓から畑を見下ろしてみた。

アニバーサリー似顔絵寄せ書き用
寄せ書きを入れるアニバーサリー似顔絵です。
お客さんがメッセージを入れて完成するので、その出来上がりをみることはありません。
いつか一度は、見たいものだなと思いますね。

もうひとつの学校

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